小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:撮影・浜田毅さん】④

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画、第三回は撮影の浜田毅さんをゲストにお迎えし、お届けいたします!
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浜田さん「小林監督が助監督の時から一緒にやりたいな~と思ってたんですよ。それが今回実現できてうれしいです。」

小林監督「そう言っていただけて嬉しいです。」

秋田プロデューサー「もともと小林監督が助監督をされていた時代って、何の作品でご一緒だったんですか?」

小林監督「篠原哲雄さんの『命』っていう映画ですね。2002年くらいの作品です。」

浜田さん「その次は『ニワトリはハダシだ』ですね。主役の子への演技指導が凄かった印象がありますね。小林監督は『ニワトリ~』のときが印象強いんですよね。」

小林監督「あの時は、チーフの武正晴さんを筆頭に演出部全員が芝居つけてましたからね。10年以上前ですけど僕も印象深いです」

秋田プロデューサー「監督として初めてご一緒に撮影されて、何か変わったと感じたこととかありますか?」

浜田さん「変わったとかではないんですけど、監督が考えている映像のイメージをすごく共有できましたね。シーンごとの流れというか。流れを共感したり共有できたりすると凄く掴みやすいんですよね。ロケハンの考え方や現場に入ってからの進め方が大幅にずれたものにならないからね。」

小林監督「流れっていう感じは分かりますね。」

浜田さん「シーンの最初の掴み方をどういくか考えたときに、役者がやってみないとわからないこともあるんだけど、どこからいくかという初手が共感できていると次の流れも考えやすいんですよね。現場では思いこまないようにはしているんだけど、すごく楽でした。」

秋田プロデューサー「キャスト陣もびっくりしていました。意思の疎通がすごくできていて、この現場スムーズですねって言っていました。」

浜田さん「映画の流れでも、流れていればいいかと言ったらそうでもなくて、止めていくのも大事なときもありますが、どういう流れで映画を作っていくかというときに、止め方や違和感も含めてどう撮るかというのが大事なんですよね。“こうあるべきだ”というものはないんですけど。監督の癖っていうのがあって、ホンを自分でも書かれているから台詞がすべて頭に入ってるんですよね。全部カメラの横で喋ってるんだよね」

小林監督「たまに声が出ちゃって、邪魔だって言われます(笑)」

浜田さん「仕上げの時にもしゃべってたよ(笑)喋ってるのをみていて、凄いなって思うんですよね。台本を見ているわけではないし。話すことで役者と共有しているんでしょうね。」

小林監督「リズムとか間とか、シンクロさせてるんでしょうね。」

秋田プロデューサー「台本は置いていてもほとんど見ていませんもんね。珍しいですよね。」

小林監督「そういえば以前、その様子を見たある俳優さんに「滝田洋二郎みたいだね。」って言われたんですよ。滝田さんってそうなんですか?」

浜田さん「基本的にカメラの横で見ている方なんですよね。モニターの所に座ってカットかける監督ではないんです。気持ちが入ってくると、(フレームに)入ってきちゃうので(キャメラを覗いたまま手で監督の体を)止めながら撮影するんです(笑)。小林監督もカメラの横で見る方ですよね。モニターを見てというよりも、芝居の臨場感を共有したいのかなって思います。モニターで見ている方ってフレームに何がどこまで写っているかとかを気にすると思うんですけど。」

小林監督「走るところとか、息をつめるところとか、そういうところは役者と共有したいんですよね。」

浜田さん「カメラも同様なんですよね。やっぱり役者と呼吸を合わせておかないと、振り間違えてしまうからね。」

小林監督「役者さんが動いてから追いかけるのは違いますもんね。」

浜田さん「座っていたところから立つときとか、人間何かしら動く前の動きがあるんですよ。だから役者さんと息を合わせていればタイミングが分かるんだよね。相撲の立ち合いとかと一緒なんだろうな。遅れちゃだめだけど先行しちゃだめなんだよね。ほんのちょっと遅れるくらいがちょうどよくて、あまりにぴったりだと気持ち悪いんだよね。」

小林監督「ただ今回、悠紀(北川さん)が「立派なおっさんやったらもう手ぇ引き」と忠告するカットで、オペレートしてたエビちゃん(Bカメの蛯原さん)」が「(ぴったり収まらなかったので)もう一回やらせてください」って言って撮り直したことがあったんです。浜田さんと僕は勢いがあってトラック1の方がいいかなって思ったんですが、実際編集するときに、台詞終わりですぐに切り返すことを考えると撮り直してよかったな、と。そこは今回勉強だなって思いました。」

浜田さん「泣くとかでも動きに意図ってあるじゃないですか。それが役者さんも考えているので息を合わせていくのが大事ですよね。」

秋田プロデューサー「浜田さん、『破門~』で何本目なんでしたっけ?」

浜田さん「62本くらいですかね?今64本目くらいになったかな。」

小林監督「同日公開ではありますが、『恋妻家宮本』もですもんね。」

秋田プロデューサー「初日舞台挨拶は、『破門』の方に来てくださいね(笑)。本日は有難うございました。」


小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:撮影・浜田毅さん】③

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画、第三回は撮影の浜田毅さんをゲストにお迎えし、お届けいたします!
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秋田プロデューサー「カメラマンとして印象に残っているシーンはありますか?」

浜田さん「意外と二宮企画の事務所セット気に入ってるんだよね。改めて見て、隅々の小道具のディティールが悪くないなぁって思うんだよね。」

小林監督「抜けすぎないように、という美術西村さんのアイデアで作った真ん中の柱とかね。あと、窓抜けの横イチのカットとかいいですよね。」

浜田さん「窓のグラデーションがすごくリアルなんですよね。」

小林監督「あれはライトの光なんですよ。作為のかたまりですね(笑)。」

浜田さん「ずっといつまでも日が暮れないなって思ってしまうロケセット(笑)。意外とロケハンうまくいったと思うんですよね。」

小林監督「そうですね、いろいろと。銀行の貸金庫のところもいいですよね。」

浜田さん「大阪でも一日でどんだけ場所移動したかっていうね。」

秋田プロデューサー「朝早くからハルカス行ってね。」

浜田さん「大阪で凝ったのは御堂筋線の走りの窓外ですね。」

小林監督「窓外合成だったんだすが、初めは左右の窓で、見栄えのする順に繋がってたんですが、それをひとつひとつ「これやと遡っちゃうから」って言いながらね、忠実に御堂筋を下ってますからね(笑)。そういう意味ではこれはこの場所でいけるな、とかの判断もよかったと思いますね。」

浜田さん「合成するにしても、ある程度はリアルなものも撮っておかないとだしね。もはやその安心感だけで成り立ってるからね(笑)」
 

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小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:撮影・浜田毅さん】②

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秋田プロデューサー「今回シネスコで撮るってどちらからの意見だったんですか?」

小林監督「確か浜田さんですね。デジタルで2台って。」

浜田さん「単にデジタルって言っても監督の気持ちが揺るがないじゃないですか(笑)。シネスコと2台っていう、しょうがないかなって思ってもらえる選択肢を提示しないとプレゼンにならないからね。シネスコでやりたいなって常々思っているのは、アップを撮ったときの横長の空白がいいなと思っているんです。大きい映画館で観ると隅々までよく見えるというか。そうするとシネスコは余白が勝負なんですよね。」

小林監督「1人にフォーカスをしながらも、その横で同時に違うことが起きているということを少しずつ撮れたりできるのは面白いですよね。ホテルで、横山くんがリモコンを拾って消すっていうのも、そのカットでやろうとまでは思っていなかったんですが、撮っていると横のスペースが空いているから、ちょうど音も消したいし動作的にいいなって。」

浜田さん「監督が本当にどこまで納得されたかは別として、そういう意味ではうまくプレゼンできたなって思いますね(笑)いずれ、いつかフィルムでっていうのもあるだろうけど、僕自身はもう60本くらいやっているので、フィルムに対するあこがれはないんです。フィルムを使うことに映画上の意味が際立つ時に、一つの素材として使うのはありかなと思っているんです。」

小林監督「今回何か変わった後処理とかしてないですよね?」

浜田さん「いや、基本はそんなにいじらないようにしてるよ。現場がちゃんとしているといじらなくてもいいんだよね、現場でちゃんとしていないとなんか厚化粧したような感じになるんですよね。それはデジタルでやってもフィルムでやっても一緒かな。」

秋田プロデューサー「デジタル撮影のときに特に気をつけてることってありますか?」

浜田さん「デジタルだからなんでも映るって思ってやると作為がないんですよ。作為がない画って基本的に好きじゃないんですよね。灯りの作り方とか」

小林監督「フィルムの場合は、特に昔は感度が低かったから、意図を持って撮らないと映らないですもんね。デジタルでは一見「映る」けど、そのままだと、それは映画の画ではない、っていうことですかね」

浜田さん「だから今回は面白かったですよ、小林監督の撮影。」
 

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小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:撮影・浜田毅さん】①

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秋田プロデューサー「撮影をするにあたり意識したこと、この作品だから工夫したことってありますか?」

小林監督「フィルムでやりたいな~っていう話を最初ちょっとしていましたよね。」

浜田さん「そう言われたから、一言でだめって言った気がする(笑)。結果どうでした?」

小林監督「やっぱりどっかでフィルムやりたいっていう気持ちはありましたね(笑)。今後も毎回思うと思うんです。でも今回、悔しいけど(フィルムじゃなくても)画としては全然良いですね(笑)。」

浜田さん「単純にフィルムでやりたいっていうのは僕の中にもあって、だけど今回は海外ロケがあったりしたので、フィルムでやるとリスクになるなと思ったんですよね。それに2台で撮りたかったんです。そうするとまぁ今回はデジタルかなと思ったんですよね。フィルムでやりたいっていう監督の思いも分かっていたんだけどね。あまり俺がフィルムにするかデジタルにするか迷っていると監督の思いも断ち切れないから、早く決めないと(笑)」

小林監督「そうか…(笑)」

浜田さん「マカオがなければ、もしかしたらフィルムでいっていたかもだね。」

小林監督「結果的にはなかったんですけどね……」

秋田プロデューサー「いや、行ったじゃないですか!」

浜田さん「でも画のクオリティはフィルムだから上がるとは思わないんだよね。」

小林監督「そうですね。特に最近のデジタルキャメラは性能があがったので、35mmフィルム使った場合と、あまり変わらないですよね。本当にちょっとしたところが違いあるかないかで…違いがあって分かったら、むしろ嬉しいくらいの小さな差しかないんで、普通のお客さんが観る分には画は本当に大して変わらないな、って思うんです。ただ、(デジタル撮影だと)現場でモニターを皆が見てカメラ前に気が集中しなくなるのと、ラッシュをやりたくて。」

浜田さん「ラッシュをみんなで観るっていうのはあるべきかなって思うね。」

小林監督「各パートの助手さんも最近観ないですよね。メインスタッフだけがDVDを持って帰って家のテレビで観るっていう。なんかあんまり映画を撮っている感じがしないんですよね。」

浜田さん「撮影の組で観るのがやっぱりいいですよね。デジタルでもちゃんとやったほうがいいと思うんですよね。」

小林監督「そうですよね。でも最近、基本的にはラッシュがないというのがスタートで、相当主張しないと省略されちゃうんですよね。いくらスケジュールがタイトで、駆け付けた若手スタッフが隅っこで鼾をかいていたとしても、みんなで観ることに意味がある気がするんですよね。」

浜田さん「問題点とかを共有できるからね。」

小林監督「人が集まる空気がやっぱりあって、上映中にいいところも悪いところも雰囲気で感じられますし。いいラッシュを観たときってみんなの顔もやっぱり違うし。そういう経緯があったほうが、ちゃんと撮ったっていう感じがするんですよね。本作でもできたからよかったんですけど。」

 
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小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:黒川先生】④

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画、第二回は黒川博行先生をゲストにお迎えし、お届けいたします!
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小林監督「そういえばこの前、『かぞくのひけつ』で撮影した居酒屋の若旦那のところに『破門』のチラシを持って行ったんですけど、その人が「僕、黒川先生に教えてもらってたんです!高校の担任なんです。」って言ってましたよ。」

黒川先生「彼のことはよう覚えてますよ、ちゃんと。美術の教師は10年やってました。担任は5年くらいです。」

秋田プロデューサー「生徒さんたちは作家になられて驚かれたりしてました?」

黒川先生「教師をやめる前の2年くらいは(小説を)書いてましたからね。みんな知ってたでしょ。」

小林監督「自分でよし!これいけた!というものと周りの評価が違うということはありますか?」

黒川先生「当然ありますね。疫病神シリーズも直木賞の候補になるなんて一切考えてもいなかったんでね。全然離れたもんやと思っていました。一番最初に直木賞の候補になったときびっくりしましたよ。「こんなもんなるん?」って(笑)。」

小林監督「あれって向こうが勝手に賞の候補とかを決めるんですか?応募するもんですか?」

黒川先生「いや、勝手に選んでくれるんです。なので急に選ばれてとっても名誉なことなんです。「えー!嬉しいわ!」って思いましたね。周囲の見方が変わりますから。選考委員が10名ほどいるんですけど、この人に言われたら仕方ないなと思える大御所が選考委員なんですよ。みなさん本当に影響力のある方で。だから嬉しいもんですよ。」

小林監督「そんな名誉ある直木賞受賞作を映画化させていただけて光栄です」

秋田プロデューサー「「破門」に続いて、シリーズ6作目の最新作「喧嘩(すでごろ)」も発売になりました。「破門」を読んで桑原&二宮のその後が気になる方や、映画をご覧いただいた方にもぜひ手に取っていただけるといいですよね。本日は有難うございました。」


小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:黒川先生】③

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画、第二回は黒川博行先生をゲストにお迎えし、お届けいたします!
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秋田プロデューサー「黒川先生はご自身の作品が映像化されてどんなお気持ちですか?不安とか……」

黒川先生「不安なんかないです! 正直言うて映画が売れようが売れまいが僕の収入にはほとんど関係ないんですからね。…映画が売れてくれたらやっぱり多少は影響ありますけど(笑)。でも、たくさんの人が映画を観てくれて、僕にいろんな感想を言ってくれるのは本当に楽しいですよ。映画は好きやし、僕が見て楽しいと思うものはやっぱりたくさんの人に観てもらいたいです。」

秋田プロデューサー「映画の入り口ってなんでしたか?好きな映画とか。」

黒川先生「アメリカン・ニューシネマですかね。『俺たちに明日はない』とか、その当時に流行っていた映画は、やっぱり面白いなって思いましたね。『イージー・ライダー』や『卒業』もよかったね。あの頃から映画っていいもんやなって思ってました。」

小林監督「今無人島に何かDVDを持っていくとしたら何ですか?」

黒川先生「『ノーカントリー』か『L.A.コンフィデンシャル』かな。『ファーゴ』もいいね。」

小林監督「コーエン兄弟(監督)ですね。」

黒川先生「クエンティン・タランティーノも好きです。今年やと『ヘイトフルエイト』もよかったですね。」

小林監督「黒川さんの作品って、「破門」に限らず乾いているというか。日本ってウェットなことが好きな人も多いんですけど。」

黒川先生「乾いてると表現される方は珍しいね。でも本当に乾いてるんです。ウェットな部分は全くないからね。だからそういってもらえると、うれしいしありがたいです。」

小林監督「僕はウェットなものはあまり好きではないので、すごく黒川先生の作品に共感できるんですよね。洋物の探偵小説というか、クールというかドライというか…。所詮は個人というところがいいですよね。」

黒川先生「ヨーロッパの映画よりはアメリカの映画が好きです。乾いている感じなんで。あと、ハンディカメラで撮ったものは、画面が揺れるから、こっちが酔うてしもて、あまり好きやないですね。」

 
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小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:黒川先生】②

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画、第二回はゲストに黒川博行先生をお迎えしお届けいたします!
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秋田プロデューサー「オール関西弁の作品ですが、大阪にご在住の黒川先生にとって、少し大阪弁が気になった箇所があったと伺いました。」

小林監督「僕は東京暮らし20年にしては標準語になってない方だと思っているんですけど、役者さんは普段も芝居の時も標準語で暮らす場合が多いので、関西出身でも(関西弁が)あやふやになってしまうこともあるんですよね。結構そこは気をつけたつもりなんですけど……あ、あそこですかね。一箇所だけ蔵之介さんの京都弁に仕上げの時に気付いたとこがあって『勝手に人の携帯持っていったら…』っていうセリフ。」

黒川先生「ああ、それか。蔵之介さんは京都出身の方ですしね。」

小林監督「京都弁、あ、京都の方は京言葉って言うた方がええみたいですけど、京言葉では『勝手に』が、大阪弁で「てっちり」って言う時のアクセントになるんですね。大阪弁やと「バッテリー」と同じアクセントなんですけど」

黒川先生「そうそう、そうやね。」

小林監督「さすがですね。アフレコするか、ちょっとだけ迷ったんですが、桑原は大阪生まれではないから、ガチガチの大阪弁でなくても、多少の揺れはあってもええかなと思いまして。宇崎さんの大阪弁も、厳密に言うとちょっと揺れているんですよね。僕の勝手なやくざ観ですけど、やくざには九州とか北関西の人も多い印象があって、どこか正統派大阪弁じゃなくてもいいかなって思ったんですよね。」

黒川先生「なるほどね、確かにそうですね。橋爪さん、あれは完璧でしたね。なんであのひとはあんなに完璧に話せるのか…。」

小林監督「本当に70代の、ネイティブな大阪弁ですよね。ちょっと下町の感じ。関東に長いこといらっしゃるのに、なんであんな完璧に話せるのかって感じでしたね。聞いたらわかるけど、「べっちょおまへん」とか、僕らの世代では話さないけど、こういうおっちゃんおるなぁって思える感じが素晴らしかったですね。」

黒川先生「いやぁ橋爪さんはほんまにうまい。新劇やられてて(方言を)直されたりしてるはずなのに。なんであんなサッと戻れるのか不思議で仕方ない。横山さんは若いこともあってすぐに戻れるかもしれんけど、彼も関西弁完璧でよかったですね。」

小林監督「横山くんも15年以上東京で仕事されたりしてますけど、自然でしたね。最近の若いアルバイトの方とか、大阪でも標準語になってますよね。昔はパブリックな言葉も、言葉は標準語なんですけどアクセントは大阪弁だったんですよ。」

黒川先生「確かにそうですね。」

小林監督「「次は神ノ木、神ノ木でございます。」っていうチンチン電車のアナウンスも、[次は]と[ございます]は標準語で固有名詞は大阪弁になっていたのに、今は全部標準語になってて、面白くないな~と思ったりもします。若い人はだんだんと標準語に近くなってきてるんですよね。」

 
→ 黒川先生×小林監督×秋田プロデューサー鼎談③につづく


小林監督×秋田プロデューサー対談企画【ゲスト:黒川先生】①

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画、第二回はゲストに黒川博行先生をお迎えしお届けいたします!
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秋田プロデューサー「第2回の今回は、ゲストに原作の黒川博行先生をお迎えして、色々とお話を伺えればと思います。『いやぁ、おもしろい』と映画をご覧いただいた直後に仰っていただきましたが、『後妻業の女』に引き続き、本作でも実際に現場で出演いただいたりもしました。」

黒川先生「実は後妻業で僕のカット1つ削られてるんですよ(笑)。セリフがあったんですけど。」

小林監督「すみません、『破門』ではセリフもなくて…(笑)。でも先生の出演シーンは注目してもらいたいですね。」

黒川先生「撮影現場を見るのって面白いんです。もちろん現場にとって原作者が来るのは迷惑って分かってますねん。分かってるけど…ちょっと出たい(笑)。」

小林監督「現場で何を一番見られてます?」

黒川先生「それは女優さんを見ます。(笑)」

小林監督「すみません!(笑)今回の出演シーンは男性2人と一緒で女優さんがいなかったですね(笑)。今度もし機会があれば気をつけます!」

黒川先生「北川景子さんを見たかったですね~。女優さんってやっぱり映像で見るよりもずっときれいですしね。」

 
→ 黒川先生×小林監督×秋田プロデューサー鼎談②につづく


小林監督×秋田プロデューサー対談企画【撮影準備 編】

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画①-7 撮影準備編です。
公開に向けてお二人の対談を通し、撮影裏話や見どころをお伝えしてまいります。
 

【撮影準備について】

小林監督「アクション練習とかしましたね。イン前に2日間、東宝撮影所で。どういう風に桑原は切り抜けるのかというのを蔵之介さんと話したりしましたね。蔵之介さんは他の疫病神シリーズも読まれているので、「こういう喧嘩のやり方あったよね」とか言いながら。桑原は、よく目つぶしをするよなとか、行く前に砂利をポケットに入れていくとか、どうズルして勝つかを考えたりもしましたね。桑原が相手をはかる勘の良さ、間合いとか。」

秋田プロデューサー「間合いとかってどんな感じで?」

小林監督「動きだけでなくて、玲美のマンションのシーンではメガネ外すか外さないか、とかも話しましたね。桑原はその場にあるものを使って機転の利く人だと思うので、その場に何があってどう動くかも話しましたね。」

秋田プロデューサー「原作の中からどこを使うかってどう考えられました?」

小林監督「2時間に収めるために、原作から何を抜いて何を生かすかを考えるのが大変でしたね。全部入れるのは難しいので。なので、とてもシンプルな部分だけを残したんですが、自分でも、ここがないのは惜しいなと思う場面もけっこうありますね…。原作ファンの方には、映画だとこんなもんだろうな、と優しい目で見守っていただければ嬉しいです。」


小林監督×秋田プロデューサー対談企画 【キャスト編②】

小林監督と秋田プロデューサーの対談企画①-6 キャスト編②です。
公開に向けてお二人の対談を通し、撮影裏話や見どころをお伝えしてまいります。
 

【キャストについて②】

小林監督「中村ゆりさんとほうかさんと佐吉さんは『煙霞』にも出ていただいていて。黒川作品の常連っていう感じで」

秋田プロデューサー「現場はほんとみんな和気藹々としてましたよね。キムラ緑子さんは、監督とイメージを話していて緑子さんがやってくれたらいいな、ってなってたんですよね。」

小林監督「緑子さんがやってくれるならもう。イメージに合うからぜひやってほしかったんですよ。緑子さんはご自身のお母さんを思って演じたって言ってくれました。子どもにとってありがた鬱陶しい感じをどう出すか、というのを意識して話しましたね。國村さんには、お世話になった兄貴の妻ではあるけれど、“ザ・姐さん”といった感じではなく、普通にお世話になった人の奥さんとして接するような感じで、とお願いしました。
宇崎さんは衣装合わせの時、女性陣の目がキラキラしてましたね。」

秋田プロデューサー「サングラスもね、自前のを持ってきてくださって。」

小林監督「この役に合いそうだからって何十個もね。その中のものを小道具として使わせていただきました。」

秋田プロデューサー「宇崎さん育ちは関東のほうですけど、さすがは耳の良いミュージシャンという感じで関西弁も違和感なくて。」

小林監督「倍音が豊かに含まれた声も素晴らしいですよね。」

秋田プロデューサー「橋爪さんはいかがでした?小林監督とは初なんでしたっけ。」

小林監督「初めてでしたね!衣装合わせの時に、「この作品は小清水にかかってます!」と期待を込めて言ったら、「またまた〜、そういうプレッシャーかけんといてや~!」って冗談でかわされたのを覚えてます(笑)。」

秋田プロデューサー「さすがですね(笑)。といいつつ、現場ではやっぱりしっかりとやってくださいましたよね。」

小林監督「あと衣装合わせの時にメガネも提案してくれましたね。「地のままやと上品になりますねん、こういう小道具の力借りんと。」とか言いながら(笑)。撮影に入ってからは僕の予想以上に、生き生きと演じてくださいましたね。
あと、毎度作品に出てもらってるテントさん。ゲン担ぎ的に今回も出てほしくて。前回『マエストロ!』で回想シーンのやくざ役で出てもらってるんですよ。だから今回は同じメイクで『マエストロ!』でやくざ役をしている役者、という設定で出てもらいました(笑)。実は小清水が振込額を見せるシーンで、その振込額の上に、20万のギャラがその役者に支払われているんですよ。(笑) 天童大和という役名です。完成した映画をみてもらいたかったんですけど、急に交通事故で亡くなって残念です。」

秋田プロデューサー「月亭可朝さんも出演してくださってますよね。」

小林監督「実話系の雑誌やドキュメンタリーを観ていたら結構やくざの方の普段着でパステルカラーがあって。いいなぁと思ってピンクを着ていただきました。」

秋田プロデューサー「可朝さん、撮影のとき「テンパりました、のまれましたわ。」っておっしゃっていましたよね(笑)」

小林監督「しきりに「覚えてきたんや、覚えてきたんやけどな。」って言って宿題きちんとやってきたのにノート忘れてきちゃった子みたいな感じで可愛くて(笑)。あと何人が気づくかなシリーズで、高川(裕也)さんにメイクでギョウザ耳にしてもらってるんですよ。警察なんでね。真面目に武道というか柔道をやってるってことで。見た目はやくざにしか見えないけれど、ギョウザ耳が警官バッジみたいなね。」